by の本当の意味は「〜によって」ではない|ネイティブが使う英語脳のコアイメージを解説

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​前置詞byのコアイメージを中心に、矢印がbus、mistake、chance、tomorrowの4つの用法へ伸びているイメージ画像

学校の英語の授業で、前置詞 by は「〜によって」「〜で」「〜までに」と、意味ごとにバラバラに暗記させられた人がほとんどではないだろうか。

もちろん、それらの訳自体は間違いではない。
しかし、実際の日常会話を見渡してみると、次のような一見すると全く関係のない使い方ばかりが登場する。

by bus(バスで)
written by Shakespeare(シェイクスピアによって書かれた)
by tomorrow(明日までに)
by mistake(間違って)
by chance(偶然に)

そのたびに日本語の訳語を当てはめて考えていると、「なぜここで by を使うのか」の本質が見えず、結局は無数の熟語として丸暗記するしかなくなってしまう。

だが、ネイティブスピーカーは頭の中で「〜によって」という日本語にいちいち変換しているわけではない。実はこれらの表現は、by が持つ『たった一つのコアイメージ』ですべて綺麗に説明がつくのだ。

この記事では、不自然な日本語訳を一度すべて忘れ、ネイティブが感じている by の世界を英語脳でわかりやすく解説する。読み終える頃には、初めて見る by の熟語に出会っても、その意味を自然と推測できるようになっているはずだ。

この記事でわかること

  • by の本質である「何かを介して目的へつながる(媒介・橋渡し)」の感覚が掴める
  • by bus などの交通手段に「the」がつかない本当の理由が納得できる
  • 受動態(by 〜)や、期限(by tomorrow)の仕組みが丸暗記なしで氷解する
  • by chance(偶然に)や by mistake(間違って)がなぜ by なのか理屈でわかる
  • 似ていてややこしい「by と until」「by と with」の違いに、もう一生迷わなくなる

by の本当の意味は「〜によって」ではない

まず結論から言おう。日本語の「〜によって」「〜で」というのは、文脈に合わせて後から作った訳語に過ぎず、by の本当の意味ではない。

日本の参考書の多くは、by のコアイメージを単に「近く(近接)」と説明しがちだ。しかし、それだけだと「バスで移動する(by bus)」や「間違って(by mistake)」といった抽象的な表現になったときに、急にイメージが繋がらなくなってしまう。

ネイティブが by という言葉を使うとき、頭の中に描いているのは、もっとダイナミックで便利な『ある一つの絵』なのだ。


by のコアイメージは「何かを介して目的へつながる(媒介・橋渡し)」

ネイティブが感じている by の核心的なコアイメージ、それは「あるルートや手段、存在を『架け橋(媒介)』にして、目的の場所や結果へとたどり着く」という絵だ。

「これを通って、ここにつながる」という一本の橋渡しのイメージさえ持っておけば、全ての用法が数式のように美しく繋がっていく。さっそく、生きた例文とともに英語脳のシステムを紐解いていこう。


① 場所の近くを通り抜ける by

まずは、最も物理的な「空間の橋渡し」から見てみよう。

  • He stood by the window.(彼は窓のそばに立っていた)
  • sit by the river(川のそばに座る)
  • pass by(通り過ぎる)

これらは単に近くにいるだけでなく、「その対象(窓や川)にいつでも手が届くほど、自分の空間が直に隣り合って繋がっている」というニュアンスだ。「その場所をルート(媒介)として存在している」という空間の近さを表している。


② 手段・方法を表す by(検索需要ナンバーワン!)

私たちが日常英会話やビジネスで最もよく使うのが、この「手段・方法」の by だ。これも「ルートを介して目的を達成する」というイメージそのものである。

by bus / by train / by car(バスで/電車で/車で)

ここで多くの学習者が「なぜ by the busby a car のように the や a がつかないの?」と疑問に思う。その答えもコアイメージから一発でわかる。

ネイティブにとって、ここでの by は「特定のあのバス(物体)」を指しているのではない。目的地にたどり着くための「バスという移動ルート(媒介・システム)を介して」と言っているのだ。形のある個体の乗り物ではなく、「移動手段という概念の橋」を渡っているだけなので、冠詞(a/the)がつかない裸の名詞になるのである。

その他の「手段・媒介」の表現

  • pay by credit card(クレジットカードで支払う ➔ クレカという決済ルートを介して)
  • by email / by phone(メールで/電話で ➔ 通信媒体を介して)
  • learn by watching(見て学ぶ ➔ 見るという行為を介して)

③ 受動態の by(誰・何を介して生まれたか)

学校英語で「受動態の時は by を後ろに置く」と公式のように習ったはずだ。これも丸暗記は不要である。

  • written by Shakespeare(シェイクスピアによって書かれた)
  • painted by Picasso(ピカソによって描かれた)
  • made by hand(手で作られた)

その作品や結果が、「一体誰(あるいは何)をルート(媒介)としてこの世に生み出されてきたのか」。その大元の動作主という「橋の起点」を指し示すために by が使われる。シェイクスピアという人間を介して、その物語が紡ぎ出されたという感覚だ。


④【他サイトにない強み】判断材料・基準になる by

ここが、一般的な辞書サイトでは深く解説されていない、この記事の重要なポイントだ。ネイティブは自分の「判断」を下すときにも by を使う。

  • judge by appearance(外見で判断する)
  • know someone by name(名前だけは知っている)
  • I can tell by your voice.(声を聞けばわかるよ)

相手がショックを受けていることを、自分の目や耳が「相手の声(your voice)というルートを介して察知した」からこそ、tell by your voice になる。「その材料を架け橋にして、自分の結論にたどり着く」という英語脳の働きだ。


⑤ 期限になる by(by と until の決定的な違い)

「〜までに」という期限を表す by。ここで必ずセットで押さえるべきなのが、同じ「まで」と訳される until との違いだ。

Finish the report by Friday.(金曜日までにレポートを終わらせなさい)
Stay here until Friday.(金曜日までずっとここにいなさい)

until は「その時点まで、ずーーっと同じ状態が継続している線」を表す。一方、期限の by は、「金曜日というタイムリミット(壁)にぶつかる手前までのルートのどこかで、アクションを完了させて繋げなさい」というイメージだ。アクションを完了させるための「時間的な猶予の橋」を渡している感覚なのである。


⑥ 原因・理由になる by

偶然起きたことや、やってしまったミスの原因を説明するときにも by が使われる。

  • by mistake(間違って、ミスによって)
  • by accident(事故で、不意に)
  • by chance(偶然に)
  • by luck(運良く)

これらもすべて、「『間違い(mistake)』や『偶然(chance)』という出来事をルート(媒介)にして、その結果が引き起こされた」というイメージで完璧に繋がっている。


⑦ 誰もが知っている定番熟語も全部つながる

英会話の教科書によく出てくるフレーズも、この「媒介」のイメージでスッキリ着地する。

by the way(ところで)
➔ 今話しているメインの「道(way)のすぐ脇のルート」を介して、ちょっと別の話を差し込む感覚。
by all means(ぜひとも、何としてでも)
➔「あらゆる手段(all means)を架け橋にしてでも」目的を達成するという強い意志。
day by day / step by step(日ごとに/一歩一歩)
➔「一日という単位を介して、次の日に繋がっていく」という連続の橋渡し。


💡 独立解説:by と with の決定的な違い

最後に、日本人が一番迷う「手段の by」と「道具の with」の違いをスッキリさせておこう。

He cut it with a knife.(彼はそれをナイフで切った)
The novel was written by Hemingway.(その小説はヘミングウェイによって書かれた)

with のコアイメージは「繋がり(一緒にあること)」だ。そのため、人間が手に直接持って一体となって使う「具体的な道具」には with を使う(ナイフ、ペン、ハサミなど)。

一方、by はあくまで「目的へ至るルート(媒介)」だ。ヘミングウェイという存在や、バスという交通システムのように、「それを介して結果が行われるルートそのもの」を指す。この「手持ちの道具(with)」か「経由するルート(by)」かという視点を持てば、もう二度と使い分けに迷うことはない。


まとめ|by は「〜によって」ではなく「媒介・橋渡し」

ネイティブが頭の中で感じている by の世界観を一覧表で復習しよう。

実際の英語表現 ネイティブが感じるイメージ
by bus / by email バスやメールという「ルート(媒介)」を介して繋がる
written by Shakespeare その人物を「媒介」として作品がこの世に生み出された
by tomorrow 明日というリミットの手前までの「猶予ルート」で完了する
by chance / by mistake 偶然や間違いという「出来事を経由して」結果が起きた
judge by appearance 外見という「判断材料ルート」を介して結論を出す

学校英語では「by = 〜によって」と機械的に教わる。しかし、ネイティブが頭の中で思い浮かべているのは、そんなお決まりの日本語訳ではない。

「ある物事を介して、目的の場所や結果につながる一本の架け橋」という、美しく便利な一つのイメージだ。

このコアイメージを一度手に入れてしまえば、by bus に冠詞がつかない理由も、熟語の意味も、すべてが一本の線で自然と繋がっていく。英語を日本語に置き換えて暗記するのをやめ、彼らと同じ絵を頭に浮かべること。これこそが、本当の「英語脳」への確実な一歩なのだ。

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