英語の発音(pronunciation)や抑揚(intonation)がある程度のレベルに達していないと英会話は成立しない。
発音やイントネーションを習得するプロセスは考えるプロセスではないので英文法の習得法とは多少違う。
それは正しい発音を聴いて真似て何度も繰り返しリピートすることでモノになる。これ以外にない。
この記事では私個人の経験を語りながら正しい英語の発音やイントネーションの習得に必要なポイントを述べる。
英会話との出会い
私と英会話との遭遇は約50年前にさかのぼる。
福岡県立城南高校に入学した年の春の陽気の中「ESC九州外語学院」と書かれた赤い看板に誘われるままに事務所を訪ねた。
そこで授業内容やカリキュラムや授業料の案内を受けて帰宅後お袋に相談してみた。
「英会話勉強してみたいっちゃけど・・・」 お袋は言った。
「あんたがね !?」 そして、こう続けた。
「さあ・・・お金どげんするかいな・・・」
これが今も記憶に残る亡きお袋との会話。
英会話学校のレッスンは学校の授業とは違って(失礼)とても楽しかった。
この学校で習ったこと。それは英語の発音やイントネーション。
各単語の正確な発音の訓練とダイアログ(対話)の徹底的な繰り返しだ。
これが後々私が英語をモノにできた大きな理由の一つとなる。
英会話初心者であるならこれから話す内容はよく理解したほうがいい。
英語は話す言語であることを知ろう
日本語では「英語できますか?」とも言えるが英語では Can you do English? とは言わない。
英語ではほぼ Do you speak English? と言う。
英語のネイティブにとっては英語とはそもそも話せるかどうかの対象だからだ。
また、英語を話せても満足に読めない書けないといったネイティブはかなりいる。
英語は表音文字であるアルファベットで成り立つ。文字通り音を表す言語だ。
ただし、実際には単語や表現に大きな影響を受けるので必ずしもアルファベット通りに発音されるわけではない。ここが英語の発音がむずかしいところ。
それだけに英語の発音は実際の英会話の現場で発せられている発音やイントネーション通りに覚えることが大切となる。
例文1. I have a lot of trouble with pronunciation.
これを一語一語正確に読み上げたもの及び通常のネイティブの発音の音声を載せる。
英会話初心者にとってはこの辺の音声変化が一番むずかしく感じるところ。
あえてカタカナで表記すると
「アイヴァ ロダ トゥラブ ウィ プナンスィエイシュン」となる。
実際のネイティブの発音はかなりの音を省く。でも、それが英会話初心者が慣れる必要がある本物の英語の音ということだ。
意味がわかるレベルの英文で発音と抑揚を訓練する重要性
いくら英語の音に慣れるといっても意味がわからないようなレベルの英文では訓練にならない。
英語の発音やイントネーションの訓練になるのはあくまでも自分のレベルに合った英文。
つまり、英語を発音しながら意味もわかるレベルの英文であることだ。
英会話初心者に無理なレベルの英文は発音の練習にならない
例を示す。
例文2.Thirty five vehicles were involved in a multiple collision on the M.1 motorway this morning. The accident occurred about three miles south of the Newport Pagnell service area when an articulated lorry carrying a load of steel bars jack-knifed and overturned.
いかがだろう?
英会話初心者にとってはチンプンカンプンだと思う。こういった意味を把握できない英文の音をいくら真似しても発音の訓練にはならない。
では、次の対話文であればどうだろうか?
英会話初心者に合ったレベルの対話文
例文3.
Betty : Kate, does your Japanese friend Hiroshi speak English?
「ケイト、あなたの日本人の友達の弘って英語話すの?」
Kate : Yes, he speaks English fluently just like a native.
「ええ、まるでネイティブのように流暢に話すわ。」
例文4.
Mommy : Were you in time for school this morning?
「けさ学校間に合ったの?」
Son : Yeah, ・・・ kind of.
「うん・・・まあ」
Mommy : What do you mean by ” kind of ” ?
「【うん、まあ】ってどういうことよ?」
Son : I was in time for the second period.
「二時限目には間には合ったよ。」
いかがだろう?
この程度の対話であれば意味をわかりながら英語に付いて行けるのではないだろうか?
意味がわかりながら発する英語の発音やイントネーションは繰り返し練習することでモノになる。
後はこういった練習をたくさんすることで日本語に戻らずにネイティブに近い発音やイントネーションで反応できる英語脳が造られる。
英会話がいまひとつ巧くなれない人に共通する原因はこの練習が足りないことだ。これは慣れるまで楽しみながらやるに尽きる。
ネイティブの発音と抑揚に近づくメリットについて
私は今まで何度となく英語のネイティブと間違えられた経験がある。それはひとえに私の発音がネイティブに近いからだ。
皆さんの気持ちの中にもネイティブのように流暢な発音や抑揚で英語を話してみたいという切ない思いがあるのでは?
その思いが実現できれば達成感とともに深い満足を得られる。つまり、流暢な発音やイントネーションは精神衛生的に良くモチベーションを高めてくれる。
正しい発音や抑揚を身に付けるとその他にもメリットがある。
自分の発音や抑揚がネイティブの発音や抑揚に近づくと当然のこととしてネイティブの話すことがよくわかるようになる。
また、英語を読む書く力も向上する。
実際に英語を音読しなくても英文を読む際に頭の中で英語の音が再現される。しかも、正しい発音や抑揚がわかる脳は英文音読のリズムもわかる。
その分英文を読み下す力となりスピードのある読解力となる。
また、スピーキング力はライティング力に直結する。音声で反射的に英語で表現できる力はそのままライティング力を培う。
つまり、英語の発音と抑揚に自信が付くとそのまま英文を読み書く力が付く。
なぜか?
それは英語の発音や抑揚の訓練は英語の語順どおり(日本語に戻らずに)に音読を繰り返すので自然な英文法が身に付くことになるからだ。
参考記事:グラマー(文法)というレールに単語が走ると英会話になる法則
基本の音声変化を身に付けるとネイティブの発音になる
英会話初心者が本物の英語の発音に戸惑うのは英語独特の音声変化があるからだ。
では、この音声変化に慣れれば解決するわけだが、基本は20~30のパターンと思ったらいい。
これを知識として知っても英会話の実力にはならないので、ここでいくつかの大事な音声変化を紹介し実際に練習できるようにする。
[th] と [s] の発音はきっちり分ける
I think(私は思う) と I sink(私は沈む)は意味が違う。これを発音で間違うと致命的なミスになる。
ご存じのように [th] は舌先を上の前歯に当てて発音される。I think→I sink の順序で三回音声表示する。
私が実際に [th] と [s] をきっちり分けて発音できるようになったやり方は以下のフレーズを繰り返すことでした。
The Sixth Street 「六番通り」 これも三回繰り返す。
t の音が d の音に変化
これはどちらかと言うとアメリカ英語に顕著である。
I got a letter from my daughter.
t をきれいに発音する場合と d のように発音する場合を音声で示す。
極端な例文となるが、
I bought a bit of better butter. 「私はいいバターをすこし買った」
これも t と d の違いを聴き分ける音声を載せる。
n の音は強力
これもアメリカ英語に顕著な傾向だが、n の音が後に続く子音を消してしまうことがある。
There is an independent international community on the internet service.
リエゾンに慣れる
英単語の音が繋がることをリエゾン( liaison )という。
・It is going to turn out to be true. 「それは本当とわかるだろうよ」
これもゆっくり発音したものとネイティブの普通の発音の二つを3回ずつ載せる。
・I think Nicole will eat it when he comes back.「彼が戻ったらニコルはそれ食べると思うけど」
* Nicole will eat it が「ニクリーディッ」と聴こえるところに注意
もちろんこの他にも英語の音声変化はあるが、この基本練習で少しは勘所が付いたかと思う。
後はなるだけたくさんの例文に当たりネイティブの発音を真似ることである。
まとめ
1)英語の発音や抑揚は意味がわかるレベルの英文、特に短い対話文で練習する。
2)英語の発音や抑揚が巧くなるとリスニング力、読解力、作文力も伸びる。
3)英語の発音や抑揚が上達すると自然な英文法が身に付く。
4)基本の音声変化に慣れて数多くの例文に当たる。
① [t] と [s] の違いはきっちりと練習しておく。
② t の音が d の音に変化する音声変化に慣れる。
③ n の音はその後の子音を消すほど強いことがある。
④ 単語の音の繋がり(リエゾン)に慣れる練習をする。
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