マクドナルドのキャッチフレーズは i’m loving it.
これ変じゃない? と思うなら、あなたの英語は変です。
アメリカに旅行中に現地の人間から How are you liking America? と訊ねられる。
なんで [ liking? ] なの? 変じゃない? と感じるならあなたの英語の方が変です。
また、現在進行形(be+動詞ing)は近未来を表す。日本人が学校で習うことだ。これ自体は間違いではない。
しかし、この日本語での理解が頭に定着すると、近未来は現在進行形で表しもっと先の未来は未来形(will)で表すものと考えてしまう。
ここから実際にネイティブが使う現在進行形の使い方がわからなくなる。
実際には現在進行形が表す未来は必ずしも近未来とは限らない。
こう聞いてもますますわからなくなる。
ただの日本人だった私がモノにした現在進行形の本当の姿をわかるようにする。
ここがわかるとあなたの英語はネイティブが使う英語にグッと近づくことになる。
現在形と現在進行形の基本のおさらい
まずは現在形と現在進行形の基本のおさらいをしておきましょう。
現在形は普段からしていることや習慣的なことを表す時に使う
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例文1)I usually eat out every Friday evening. 「ふだん毎週金曜日の夜は外食します。」
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例文2)He works at the city office nine a.m. to five p.m. 「彼は午前9時から午後5時まで市役所で働いています。」
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例文3)She studies English soon after she comes back home from school. 「彼女は学校から帰るとすぐに英語を勉強しています。」
これらはすべて普段からいつもやっていること繰り返しやっていることや習慣。この場合は現在形を使う。
これを現在進行形にすると意味不明になることはわかると思う。
現在進行形は今起きていることを表す時に使う
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例文1)I am eating out now with my girlfriend. 「今彼女と外食中だよ。」
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例文2)He is working at the city office with a few of his colleagues. 「彼は同僚の何人かと市役所で仕事中です。」
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例文3)She is studying English with her favorite app. 「彼女はお気に入りのアプリで英語を勉強しています。」
これらはすべて現在進行中の行為を表すのですべて現在進行形となる。
ここまでの理解はいいかと思う。
現在形のよくある誤解とマクドナルドの i’m loving it.
進行形にできない動詞としてよく紹介されている動詞は以下の通りとなる。
**********
[所有や状態] : have, own, possess など
[思考や感情や認知] : love, like, hate, prefer, believe, forget, doubt, know, imagine, understand, suppose, wish, guess など
[知覚や感覚] : look, see, hear, feel, smell, taste など
**********
しかし、こういった分け方をすると実際の英語とは大きくズレてくる。
マクドナルドの i’m loving it. はご存じかと思うが、これが文法的に正しいかどうかは別としてこういった用法をネイティブは良く使う。
例えば、納豆を食べたことがない外国人が納豆の健康効果の話を聞きつつ納豆を試食したとする。そして、一口目で違和感を感じ二口目で少し慣れ三口目で味がわかってきたとする。
そこでこう質問。
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How are you liking your natto? 「納豆どんな感じ?」
すると、こう答える。
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Yeah,… I guess I’m loving it. 「うん・・・なんだか好きになってきてるみたい」
この場合はまだ完全に love ではないにも関わらず「好きになってきている」という現在進行中の気持ちを表す。
だから love には進行形があり得る。英語のネイティブにとっては普通のことだ。
現在進行形でなければならない時とは
現在形と現在進行形はまったくニュアンスが異なる時がよくある。
ネイティブはこのニュアンスの違いを使い分けている。例文で解説する。
How do you like と How are you liking の違い
How do you like your new house? 「新しいお住まいいかが?」
この質問はもう確定した評価を訊ねることになる。だから、新しい住まいには既にある程度の期間住んでいることが想定される。
How are you liking your new house? これも「新しいお住まいいかが?」と同じ日本語になるが、この場合は引っ越した直後が想定される。
この頃引っ越した住居の住心地、現在の心境を訊ねている。
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How are you liking your new house?「新しいお住まいいかが?」
この質問に対する答えとして、例えばこんな返事が想定できる。
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Well, I’m liking it so far. 「う~ん、今のところ気に入っているかな」
【いつもず~~~っと~してる】は現在進行形を使う
例文1)「彼女は帰宅するといつもスマホゲームをしてます。」
これが「だいたいスマホゲームをしてるのが普通だ」という意味で言う場合は現在形で表す。
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She always plays a smartphone game after she comes home.
しかし、「帰宅するや否やいつもず~~~っとスマホゲームをしている」というニュアンスで言う場合は現在進行形を使う。
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She is always playing a smartphone game after she comes home.
例文2)「彼はいつも給料のことで文句を言っている」
この例文でも「彼はだいたい給料のことでいつも文句を言っている」という習慣的なことであれば現在形を使う。
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He always complains about his pay.
しかし、これが「彼はいつもいつも文句を言い続ける」といったニュアンスであれば現在進行形を使う。
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He is always complaining about his pay.
いかかだろう?これで現在進行形で表現される時のニュアンスがわかったかと思う。
次に、現在進行形が表す未来の意味について解説する。
現在進行形=近未来と誤解するわけ
日本人は学校で現在進行形は近未来を表現すると習う。
実際に近未来を表現することもあるので必ずしも間違いとは言えない。
そこで、近未来を表現した例文を何度も練習させられると「現在進行形が表現するのは近未来だけ」という間違った理解が定着する。
実際の英語では現在進行形が表現する未来は時間とはまったく関係ない。
ここをよく理解していない教師が英語を教えるので生徒が初めから混乱する。
では、現在進行形が表現する未来とはどんな未来のことなのか。これを以下に解説する。
will と 現在進行形未来の決定的な違い
will が表現する未来と現在進行形が表現する未来には決定的な違いがある。
確定していない未来を表す will
未来を表す最も一般的な表現法は will だろう。
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I will see Jim tomorrow. 「私は明日ジムに会う予定です。」
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We will go downtown to have some fun. 「私たちは町中に行って楽しむだろう。」
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They will visit us sometime next year. 「彼らは来年のいつか私たちを訪問するでしょう。」
これらの表現は100%決まったことではなく「現時点ではそういった意志です」あるいは「たぶんそうなるだろう」というニュアンスとともある。
ということは、変更になる可能性もあれば変更することもあり得るということだ。
確定している事実を表現しているのではない。
確定した未来を表す現在進行形
上の例文三つをそれぞれ現在進行形にして意味的な違いを日本語にする。
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I am seeing Jim tomorrow. 「私は明日ジムに会うことになっている」
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We are going downtown to have some fun. 「私たちは街中に行って楽しむことにしている」
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They are visiting us sometime next year. 「彼らは来年のどこかの時点で私たちを訪問することになっている」
このように未来の確定したことを表現する際には現在形ではなく現在進行形を使う。
ということは、現在進行形が表現する未来は近未来でなくてもいいのではという疑問を持つと思うが、その通り。
現在進行形が表す未来は時間とはまったく関係ない。例文で示す。
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She is getting married next year. 「彼女は来年結婚の予定です。」
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My mom is turning sixty next month. 「母は来月60歳になります。」
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We are having a baby in three days. 「私たちは明明後日赤ちゃん誕生です。」
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Our project is getting completed within three years. 「我々のプロジェクトは三年以内に完了する予定です。」
これらはすべて確定した未来なので現在進行形で表す。
will でなければならない場合とは
ただし、やはり will を使うべき場合があるので要注意。
これは今その場の勢いで決めたことに関して「~しましょう」という場合。
AさんとBさんの電話の会話文で例を示す。
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A:Can I talk to Mr. Sato, please? 「佐藤さんとお話しできますか?」
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B : Sorry, he’s not in now. I’ll have him call you back later. 「すみませんが、今不在しています。後で電話させます。」
この場合 I’m going to have him call you back later. とは言わない。be going to はある程度既に決めていることにしか使われない。
同じことは次の例文でもわかる。
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A : Mommy, I’m dead hungry. 「母ちゃん、腹減って死にそうだよ!」
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B : OK, dear. I’ll soon cook something good for you. 「わかったわよ。すぐに美味しいもの作るからね。」
ターミネーターのお決まりの捨て台詞 I’ll be back. もこの例だ。まさか決まってるかどうか判然としない I’ll be back. をターミネーターが言うはずはない。
「戻てくる」ことをその時のタイミングで決めたからターミネーターは I’ll be back. と捨て台詞を残している。
まとめ
・現在進行中である気持ちを表す場合は loving も liking も使われる。
・いつもずっと何かをしている状態を強調する際には現在進行形を使う。
・現在進行形が表す未来は時間とは無関係。
・will は確定していない未来に使う。
・現在進行形は確定している未来に使う。
・will は今その場で決めたことに使われる。
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