日本人は学校で英文法を習い英文法に即して英作文を練習する。
しかし、直訳の練習が主なので直訳癖が身に付いて離れない。
ところが、実際には英作文が直訳でOKな場合と直訳ではダメな場合がある。
例えば、「私は6時に目覚めた」は 〇 I woke up at six o’clock. でいいが、「私は二度寝した」は ✖ I slept twice. とはならない。
「私は二度寝した」は 〇 I went back to sleep. と言う。
英会話の初心者はまずは直訳でOKな英文に慣れることが優先事項だが、同時に初期の内に直訳ではダメな場合を知ることも重要。
さらに、直訳ではダメな英文がなぜダメかなどを知ろうとはせずにネイティブが使う英語はそういうものだと割り切って理解する心構えも重要。
ただし、多くの記事同様にこういった解説はいくら読んでも実際の英会話力にはならない。
本ブログでは実際の具体的な例文で直訳の英作文を作ってしまう癖を指摘し、同時にネイティブはどんな表現をするかということに慣れてもらう。
その慣れというプロセスを経ることであなたの頭の中には英語の神経回路(英語脳)が発達する。
「当然の報いだ」の直訳と意訳
直訳が間違いになるプロセスとネイティブが実際に使う英語(意訳)を紹介する。
間違いに繋がる直訳のプロセス
日本語は主語を省くことが多い。
「当然の報いだ」は「それは当然の報いだ」の「それは」が省かれている。
そこでこれを英語にする時には It を主語にして「当然の報い」を和英辞典で調べる。
すると、「当然の」は natural とあり「報い」は reward とある。
そこで、✖ It is a natural reward. などと見当違いの英作をしてしまう。
和英辞典で英単語を拾ってきて無理やり英語にする癖(直訳)は英会話の習得には大きな障害となる。
この悪い癖に身に覚えがある人は今の内から英作文の考え方やり方を変えないと、いくら英語を勉強しても実際には使われない英作文だらけになる。
日本語の字面である「当然」とか「報い」は英語でどう言うかと考えているようでは正しい英語は身に付かない。
では、「当然の報いだ」は英語でどう言うか?
これは、例えば、You have it coming と言える。
この主語は You だが、もし「彼には当然の報いだ」となれば He has it coming. でいい。
次に「当然の報いだ」に相当する英語にはどんなものがあるかを解説する。
ネイティブが使う「当然の報い」
You have it coming.
この表現は「あなたはそれを来させている」という表現。そこから「あなたにとっては当然の報いだ」という意味になる。
cf.「いま犬を走らせているよ」→ Now we have our dog running.
I don’t get why they said “no.”「なぜダメと言われたかわからない。」
You ask for it.
この表現はまさしく「あなたがそれを求めている」だが、そこから「自分で招いている」→「当然の報いだ」「自業自得だ」といった意味になる。
Why do guys hit on me so often?「なんで男の人達って私にそんなにちょっかい出すの?」
How you look … You are asking for it.「その見かけ…自分で招いてるのさ。」
It serves you right.
この表現は直訳すると「それはあなたに正しく働きかける」となる。そこから「当然の報いだ」「いい気味だ」「ざまあみろ」という場合に使う。
You know, he got fired unpaid.「ねぇ、彼給料なしでクビだって。」
It served him right.「それが当然だろ。」
このように「当然の報いだ」に相当する英語は状況に応じていくつかの表現がある。
日本語から発想せずにこうした英語表現を一つ一つ学んでいけば、英語脳(英語の神経回路)でネイティブが使っている表現(意訳)が身に付く。
それを繰り返すことで英語を英語脳で発想して表現する英会話力となる。
「リスクを負う」の直訳と意訳
「リスクを負う。」 これは take a risk あるいは take on a risk でOK。
では、take a chance の意味はと聞かれると「チャンスを掴む」と答えるのが英会話初心者にあり勝ちな間違い。
間違いに繋がる理解のプロセス
なるほど take の意味は「取る」なので chance を take するは「チャンスを掴む」と理解されやすい。
ところが、これも実際の英語に慣れていない英会話初心者がやり勝ちな誤解で、要するにそういった日本語での発想が生む間違いである。
take a chance の正しい意味は「リスクを冒す」あるいは「いちかばちかやってみる」という意味。
日本語の直訳が生むよくある間違いの例は「病院に行く」の英訳にも見られる。
これを「病院」は hospital で「行く」は go なので「お母さんは病院に行ったよ」の意味で Mom went to hospital. とすると「お母さんは入院した」ということになる。
普通に「病院に行く」という場合は go to see a doctor となる。
「行く」go に関連して言えば日本語では「じゃぁ、7時ごろ行くね」と言うが、これを ✖ Then I will go at about seven. とすると間違いになる。
英語では 〇 Then I will come at about seven. と言う。「行く」は必ずしも go ではない。
また、「ちょうど4000円です」という場合「ちょうど」は just なので ✖ It’s going to be just 4000 yen. かというとこれも間違い。
この場合は 〇 It’s going to be 4000 yen even. と言う。
このように日本語を英語にするという直訳癖が付いているといつまで経ってもネイティブが使う表現が身に付かない。
様々な日本語訳になる take の意味
上で take a chance は「リスクを冒す」意味だと述べた。次に、この take a chance に関連する様々な表現がどんな日本語に相当するかを解説する。
Do you want to take the exam for Tokyo University?「東大受験してみたい?」
Not really. I don’t want to take a chance.「あんまり。リスク冒したくないもん。」
You don’t take any chances !「用心深いな」
I just don’t want to take that chance, daddy.「それだけは大事を取りたいってことよ、お父さん」
このように take a chance, take chances, take the(that) chance などは状況に応じて様々な日本語訳となる。
ここまでの take a chance の使われ方を理解できれば take a chance が「チャンスを掴む」とはならないことは自明だろう。
では、「チャンスを掴む」は英語で何と言うか?
そもそも chance は「偶然の好機」という意味だ。なので、自分が努力した結果得られるようなチャンスには opportunity を使う。
自分が努力した結果得られるような「チャンスを掴む」→ seize (grab) an opportunity
これが偶然にもそういった「機会を得た」という場合は → get an opportunity となる。
このように状況やニュアンスの違いに応じて実際にネイティブが使っている表現をモノにするのが英会話の正しい習得法だ。
「遊ぶ」の直訳と意訳
「遊ぶ」は play だと頑なに頭の中に入っているのが日本語脳。
ところが、日本語の「遊ぶ」は必ずしも play とは限らない。むしろ、play でない場合が多い。
間違いとなる「遊ぶ」= play
「今日はだれと遊ぶ予定なの?」を Who are you going to play with? とすると通じない。
もし、「遊ぶ」のではなくだれかと音楽の演奏予定だったりスポーツをする予定なら通じる。
そもそも日本語の「遊ぶ」は具体的な行動を示していないが、英語のネイティブは具体的な行動予定を訊く形が多い。
Who are you going for a drink with?「だれと飲みに行くんだい?」
特に具体的な行動を訊かない場合は hang out をよく使う。
I am going to hang out with Emily this evening.「今夜はエミリーと遊ぶつもりだ。」
しかし、これが I am going to play with Emily this evening. となると大人の場合は「今夜エミリーとセックスする予定だ」となるので要注意。
play with ~ は子供同士の場合は問題ないが大人の場合は「セックスする」を意味する。また、I played with myself last night. となると「昨日の夜は独りで遊んでた」ではなく「昨晩はマスターベーションした」という意味になる。
このように日本語からの直訳は意味が通じないどころか大きな誤解を生むことにもなる。
日本語の「遊ぶ」を表現する英語
Hey, why don’t we go out this evening?「ねえ、今晩遊びに行かない?」
I spent time with my boy friend last night.「昨日の晩は彼氏と遊んでた。」
I met up with my classmates in Ginza.「銀座で同級生と遊んだ。」
I don’t want a casual relationship.「遊びの関係はいやよ。」
I know he played me.「彼が遊びだったのはわかってるわ。」
You mean he was just playing games with you?「やつは遊びだったってことかい?」
You have no time to carry on .「遊んでる場合じゃないわよ。」
日本語の「遊ぶ」も英語では状況に応じて様々な表現になることを理解しなければならない。
合せて読みたい記事:直訳なしの英会話力でネイティブの英語に最速で近づく方法と具体例
まとめ
・英会話初心者の優先事項は直訳でOKな基本的な英文と英文法の修得。
・同時に、直訳では間違いとなる英語表現に慣れることで英語脳が育つ。
・間違いに繋がる直訳のプロセスを知っておこう。
・ネイティブが実際に使う表現に数多く慣れることが重要。
・ネイティブらしい表現に慣れることで英語脳(英語の神経回路)で発想し英文を組み立てる力が付く。
コメント