「英語が話せません」
そう言う人の中には、実は英語をまったく話せないわけではない人が少なくない。
簡単な英文なら言える。
「昨日、映画を見ました」なら、
I watched a movie yesterday.
と言える。
「週末は何をしましたか?」と聞かれれば、
I went shopping with my wife.
くらいなら答えられる。
ところが、そこから会話が続くと、急に英語が出てこなくなる。
「どこへ行ったの?」
「何を買ったの?」
「どうだった?」
「その店にはよく行くの?」
そんなふうに相手から次々に質問された途端、「えーっと……」と止まってしまう。
これは、単純に「英単語が足りない」「文法を知らない」という問題だけではない。
私は、ここには英語学習で見落とされがちな、もう一つの壁があると考えている。
それは、「一文を英語にする力」と「会話の流れを英語のまま追い続ける力」は別物だということ。
私たちは日本語なら、子どもの頃から何年も何年も会話を繰り返してきた。短いやり取りから始まり、成長するにつれて少しずつ長い話を聞き、相手の話についていき、自分の考えや経験を説明できるようになっていく。
ところが英語になると、どうだろう。
単語を覚える。文法を覚える。例文を覚える。一文を英語にする。
ここまでは一生懸命やる。
それなのに、「会話そのものを英語の流れとして追い続ける練習」は、意外と少ないのだ。
だから私は、英語脳を鍛える次の段階として、一文ではなく「ある程度まとまりのある会話を英語のまま追いかける練習」が必要だと考えている。
この記事では、なぜ「一文なら話せるのに会話になると続かない」のか、その理由を整理しながら、英語を一文単位ではなく「会話の流れ」として処理するための考え方を紹介する。
そして、その考え方を実際のトレーニングに落とし込んだのが、「英語脳構築講座」第9弾①だ。
この記事でわかること
- 「一文なら話せるのに会話が続かない」本当の原因
- 「一文を話す練習」と「会話の流れについていく練習」の決定的な違い
- 母語では自然に身につけてきた「長い会話についていく力」とは何か
- 長めのABAB会話を使って「英語の流れ」を追う実践的考え方
- 会話を途切れさせず「点から線」につなげる英語脳トレーニングのステップ
一文を英語にできるのに、なぜ会話になると止まるのか?
英語学習をしていると、「英文を作ることはできるようになった」という段階に入ることがある。
例えば、
I went to a restaurant yesterday.
という英文なら作れる。
ところが、実際の会話はここで終わらない。
相手が、
Where did you go?
と聞いてくる。
答える。
すると今度は、
Who did you go with?
と聞かれる。
また答える。
さらに、
What did you have?
と聞かれる。
つまり実際の会話では、「一文を作って終了」することはないのだ。
- 相手の発言を聞く。
- 意味を理解する。
- 自分の答えを考える。
- 英語で返す。
- その返答を受けて、相手がまた話す。
- その内容を理解して、また反応する。
これが延々と続く。
つまり会話には、「英語を一文にする力」だけではなく、「英語の流れについていく力」が必要なわけだ。
ここを理解しないまま、「もっと単語を覚えなければ」「もっと文法を勉強しなければ」と考えてしまうと、いつまでも同じところをグルグル回ってしまうことになる。
「一文を話す練習」と「会話についていく練習」は違う
もちろん、単語も文法も必要だ。
英文を正しく作るためには、英語の知識が欠かせない。
問題は、その知識を身につけた後だ。
例えば、
I went to a park yesterday.
という英文を何度も練習したとする。
その英文がスラスラ言えるようになった。これは大きな進歩だ。
しかし、実際の会話では、
Where did you go yesterday?
と質問されるかもしれない。
答えたら、
Who did you go with?
と続くかもしれない。
さらに、
What did you do there?
と聞かれるかもしれない。
ここでは、最初に覚えた一文だけでは対応できない。
必要なのは、相手の発言を受けながら、その場で次の英語へ進んでいく力である。
私は、ここに「英語を知っている」と「英語を使える」の大きな違いがあると思っている。
一文を正しく言えるようになる。
そこからさらに、一文から次の一文へ、そして次の一文へと、英語の流れを止めずに進める。
この段階へ進む必要があるのだ。
母語では、私たちは「長い会話」に少しずつ慣れてきた
ここで、少し考えてみてほしい。
私たちは日本語を、最初から長い会話として身につけただろうか。
そんなことはない。
幼い子どもの会話は、とても短いものだ。
「これ、なに?」
「りんご」
「食べる?」
「うん」
最初は、こんな短いやり取りでも十分に会話になる。
ところが、成長するにつれて会話は少しずつ長くなっていく。
「昨日、学校で何したの?」
「休み時間に友達とサッカーしたんだけど、そのとき……」
というように、出来事を順番に話したり、相手の質問に答えたり、自分の考えを説明したりできるようになる。
5歳の子どもと10歳の子どもでは、個人差はあるものの、一般的に扱える会話の長さや内容には大きな違いがある。
大切なのは、母語では成長する過程で「短い発話」から「まとまりのある会話」へと、少しずつ慣れていくということだ。
ところが英語学習になると、どうだろう。
一文を練習する。また一文を練習する。また別の一文を覚える。
これでは、「長い会話についていく」という能力を鍛える機会が少なすぎる。
だから英語でも、次の段階では、会話そのものの長さに慣れていく必要があると私は考えている。
英語でも「会話のかたまり」を処理する練習が必要
では、具体的に何をすればいいのか。
私は、ある程度長いABAB会話を使ったトレーニングが非常に有効だと考えている。
例えば、
A → B → A → Bという短い一往復だけで終わらせるのではなく、A → B → A → B → A → B → A → Bと、会話をある程度まとまりのある流れとして続けていくのだ。
ここで重要なのは、一つ一つの英文をバラバラに覚えることではない。
会話全体を一つの「流れ(映画のシーン)」として追いかけることだ。
- Aが何を言ったのか。
- それに対してBはどう反応したのか。
- そのBの発言を受けて、Aは何を聞いたのか。
- そしてBはどう答えたのか。
この流れを英語のまま追っていく。すると、「次はこういうことを聞いてくるな」「この質問なら、こう答える流れだな」という感覚が少しずつ生まれてくる。相手の話を受けて、次にどう反応すればいいのかという感覚も、徐々に身についてくる。
これは、一文の暗記とはまったく違う。
会話の流れそのものに慣れていくこと。ここが最大のポイントなのだ。
「英語を覚える」から「英語の流れを追う」へ
英語を話すとき、頭の中で毎回「この日本語は英語で何と言うんだ?」と考えていたら、会話についていくのは大変だ。
相手が話している間に、
日本語で意味を考える ➔ 日本語で返事を考える ➔ 英語に翻訳する ➔ 英文を組み立てる
などとやっていたら、相手は待ってくれない。
だから必要なのは、英語を日本語に置き換える速度を上げることではない。
英語を聞いたときに、意味・場面・状況を直接つかみ、次の反応や発話につなげることだ。
これが、私がこのサイトで一貫して「英語脳」と呼んでいるものである。
💡 そもそも「英語脳」とは何なのか? 50年の経験から導き出した「知識を反射に変える」根本的な考え方については、以下の記事で詳しく解説しています。👇️
なぜ知識を増やしても英語は話せないのか?|英語脳・地理脳・料理脳に共通する「できる」の正体
最初は一文。
そこから少しずつ、
一文 ➔ 複数の文 ➔ 会話の流れ
へと、英語を処理できる範囲を広げていく。
つまり英語脳も、一気に完成するものではない。
扱える英語の「かたまり」を少しずつ大きくしていく。そのためのトレーニングが必要なのだ。
ある程度長いABAB会話を、何度も追いかける
では、ABAB会話をどのように練習すればいいのだろうか。
基本はシンプルだ。
- まず、会話の場面(映像)を理解する。
- 次に、音声を聞く。(最初は意味を確認して構わない)
- 一度理解した会話を、何度も繰り返し聞き、声に出す。
Aの発言を聞いたら、Bの発言が来る。
Bの発言を聞いたら、次のAの発言が来る。
この流れを何度も経験する。
まずは会話が行われている場面を映像としてイメージする。そして、英語を日本語に置き換える前に、「何が起きているのか」をつかむためだ。
すると、最初は「英文を一つずつ理解している」状態だったものが、少しずつ「会話の流れを追っている」状態に変わっていく。
目指すのは、「この英文を覚えた!」という状態ではない。
「この会話なら、英語のまま最後までついていける」という状態だ。
そして、その会話を何度も繰り返すことで、
理解 ➔ 反応 ➔ 発話
のスピードが少しずつ上がっていく。
これが、英語を「知識」から「反射」に近づけていく作業なのだ。
ここまでの話を、私は「点→線」と考えている。
一つの英文を理解するのが「点」なら、複数の英文を会話の流れの中で処理できるようになるのが「線」だ。
英語脳を作るということは、単に「点」を増やすことではない。
点と点をつなぎ、英語を流れとして処理できるようにすることでもある。
そこで作ったのが「英語脳構築講座」第9弾①
ここまで読んで、「なるほど。一文の練習だけではなく、長めの会話そのものに慣れる必要があるのか」と思われたかもしれない。
英語を知識として覚えるだけではなく、ある程度まとまりのある会話を、英語のまま追い続ける。
その練習を、実際に一人でもできる教材にしてみよう。そうして作ったのが、「英語脳構築講座」第9弾①だ。👇️
【実践編・第9弾①】「昨日あったこと」を英語のまま話す|過去の出来事を時系列で再現する10トレーニング(音声教材付き)
参考までに「実践編・第9弾①ユニット1」をお見せしておく。

📚 また、『英語脳構築講座』の全体像や、第1弾〜第8弾までのトレーニング内容一覧は、こちらのまとめ記事からご確認いただける。👇️
英語脳構築講座とは?|50年の英語学習から作った「知識」を「反射」に変える実践教材
第9弾①では、短い一往復の会話ではなく、過去の出来事を時系列に沿って追っていくABAB会話を使う。
音声を聞き、場面をイメージし、何度も繰り返し、会話全体を英語の流れとして追いかける。
一つの英文を丸暗記するためではない。
英語の会話についていく感覚を鍛えるためだ。
「一文なら英語で言えるようになった。でも、会話になると次の言葉が出てこない」
もしあなたがそんな壁を感じているなら、次に鍛えるべきなのは、英語の知識をさらに増やすことだけではないかもしれない。
英語の流れに慣れること。
そこから始めてみてほしい。
まとめ|一文英語から「会話の流れ」へ
英語を話せるようになるために、単語や文法の知識は必要だ。
一文を正しく作る力も必要だ。
しかし、そこがゴールではない。
実際の会話では、一文で終わることはほとんどない。
相手が話す。自分が返す。相手がまた話す。それにまた反応する。この流れが続いていく。
だから、
「一文を英語にする力」から、「会話の流れを英語のまま追う力」へ
進む必要がある。
私は、これも英語脳を作るための重要な一段階だと考えている。
英語は「知識」ではなく「反射」。
そして、その反射は、一文ずつ覚えるだけではなく、実際の英語の流れを何度も経験することで少しずつ育っていくものだ。
もし今、「簡単な英文なら言えるようになった。でも会話になると続かない」という壁にぶつかっているなら、次は一文の先へ進んでみてほしい。
英語を一文ではなく、会話の流れとして追う。
そのための具体的なトレーニングとして、私は「英語脳構築講座」第9弾①を作った。
実際の「まとまりのあるABAB会話」を使って、英語を時系列の流れとして追うトレーニングを体験したい方は、ぜひ第9弾①をチェックしてみてほしい。
運営者ヤヌスの心からのメッセージ
英語は「知識」ではなく「反射」です。
理解しただけでは話せるようにはなりません。
本当のゴールは“瞬時に口から出る状態”です。

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